日本のどこかにあるスーパーマーケットの店長、その名も猪熊店長。
なんだかすごく強そうな名前の店長とパートさんの日常の会話です。
ある日の朝礼で、店長がしんみりとした顔で言いました。
「実は私、異動になりました。来週から、猪熊店長が異動してきます。みんな3年間本当にありがとうね」
「えーーー!そんないきなり!?いつも異動が急すぎません!?」
「いやそうなんだけどさ、異動先の店舗の店長が辞めることになってさ、私しか動ける人がいなかったんだよ~。
まあそういうわけだから、猪熊くんも含めて、歓送迎会よろしくね!」
その日からなんだかみんながソワソワしています。
「猪で熊なんて、名前だけですごく怖そう」
「強そうだよね……」
お昼休みも、もうほぼその話題で持ち切りです。
事務所の休憩室で、チェッカーさんがお弁当を食べながら、猪熊店長のことについて妄想を膨らませています。
「ねぇねえ店長、猪熊さんってどんな人なの?」
「そうだなぁ。猪熊さんはとっても優しいよ。見た目は確かに名前通りかもしれないけどね。」
それを聞いたみんなは、ほっとしたような、複雑なような……。
「来週から、このお店の雰囲気ってどうなっちゃうのかな。
だってさー、店長が変わったら、お店もすごく変わっちゃうじゃん。私、居れなくなったらどうしよう」
「何言ってるのよ!私たちの方が社歴だけは長いわよぉ~!多分だけど」
猪熊店長が異動してきたら、またお知らせします。