みなさん、こんにちは。
「POPの学校」の山口茂です。
まずは、新成人のみなさん、本当におめでとうございます。
僕にはこの日、欠かさず心待ちにしているものがありました。
それは、伊集院静さんが紡ぐ「二十歳の君へ」というメッセージです。このエッセイは、1978年に作家・山口瞳さんが書き始めたもの。開高健さんへと引き継がれ、そして2000年から伊集院静さんがそのバトンを受け取りました。
この広告に込められた物語は、サントリーの広告文化そのものを象徴しています。山口瞳さんも、開高健さんも、サントリーの宣伝部で活躍されていたのは有名な話ですね。
サントリーのCMや広告には、いつもどこか物語がありました。たとえば、サントリーオールドのCMに勇気をもらった中年のおじさんも多かったのではないでしょうか(笑)。
「モノではなく、コト」ですね。
そんな「二十歳の君へ」の中で、僕が特に心を打たれた言葉があります。それは、「独りで、旅に出なさい。」という文です。この言葉に出会ったときの感動は、今でも鮮やかに思い出せます。
実はこの年の新聞広告を、今も大切にとってあるんですよ。もし、僕が二十歳の頃にこのメッセージを読んでいたら…。きっと今、このブログを書く僕とは違う人生を歩んでいたかもしれません。
それほどに、この言葉は心の奥深くに響き、未来を見つめるきっかけを与えてくれるものでした。
「独りで、旅に出なさい。」
二十歳、成人おめでとう。
今日から大人と呼ばれても、ピンとは来ないだろう。私もそうだった。
今、君は自分がどんな大人になるのか想像もつかないだろう。
どうしたら君の、自分なりの大人の姿が見えるだろうか?
そのためには、いろんなものを自分の目で見て、さまざまな人と出逢うことだ。
私の提案は、旅だ。それも若い時に、独りで旅に出ることだ。
日本でも、海外でもかまわない。
一番安いチケットを買いなさい。金がなければ、君の足で歩き出せ。
自分の足で見知らぬ土地を歩き、自分の目で、手で、肌で世界に触れることだ。
どんな人がどんなふうに生きているかを見ることだ。
インターネット、テレビ、新聞、書物で知る世界とはまったく違う世界だ。
世界は君が考えているより広く、大きく、豊かで、また切なく、貧しくもある。
独り旅はまず、自分がまだ何者でもないことを教えてくれる。
自分の力で歩くことが、人生の、生きる基本ということを学ぶだろう。
若い時になぜ旅が必要か? それは若い新鮮な目にしか見えないものが、
今の純粋なこころでしか獲得できないものが、間違いなくあるからだ。
旅に疲れたら、夕空を、星を仰いで一杯やればいい。
苦くて、美味い、旅の酒の味は、生涯の宝になるはずだ。
二十歳の旅人に、乾杯。
伊集院静
このエッセイが伝えたいのは、二十歳という人生の節目にこそ、未知なる世界への一歩を踏み出す価値があるということだと僕は思っています。
「旅」は単なる移動ではなく、自分自身を見つめ直し、成長するための特別な時間です。新しい年、新しい人生を迎えるみなさんに、僕からも「独りで旅に出る勇気」を心から応援し、エールを送りたいと思います。
POPの学校」では、
コトPOP研修を行っています。
日本全国どこにでも伺います。
………………………………………………………….
研修のお問い合わせ、お申込み、コトPOPの制作、
原稿執筆の依頼等は「POPの学校」のお問い合せ
フォームからお願いします。
https://www.pop-school.com/contact/
執筆者
山口 茂(やまぐち・しげる)
株式会社山口茂デザイン事務所 代表取締役
「POPの学校」主宰
食品商業コトPOP大賞審査委員長/POP広告クリエイター技能審査試験中央委員/ 日本コトPOPマイスター協会会長/宣伝会議講師 「お客様のメリットを伝えるコトPOPの提唱者」であり、日本でただ1人のコトPOPの指導者。40年以上にわたりPOPの制作指導・コンサルタンティングに従事。これまでの研修で約31万人もの受講者を持ち、全国で売れるお店をプロデュースしている。毎月開講している「コトPOP勉強会」は日本全国から参加者が集まり、常に満員御礼。キャンセル待ちが出る勉強会となっている。著作に『コトPOPを書いたら あっ、売れちゃった!』『POP1年生』『コトPOPの効果検証』『POPの教科書』(いずれもすばる舎)、『1秒で心をつかむPOPのつくり方』(PIE)がある。